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※この物語はフィクションです。
 その少女は《天国への階段》(エンジェル・ラダー)を登っていた。
 エンジェル・ラダーといえば、和訳すれば天使の梯子で、一般的には、薄明光線と呼ばれる。
 薄明光線とか言われても、なんのこっちゃだ。
 まだしもスペシウム光線の方がわかる。
 薄明光線というのは要するに、雲の隙間から差し込んでくる太陽光のことを言うのだ。
 放射状に差し込む光が神々しく美しいその光景を、写真でなら見た人も多いことだろう。
 ちなみに、薄明光線はレンブラント光線とも呼ばれる。
 レンブラント光線と天使の梯子ね。
 何だか、受けるイメージが大きく違うなあ。
 レンブラント光線と聞くと、俺はどっちかっていうと、響きとして『レントゲン』に近いというか、外科手術に関係する単語なんじゃないか、と思えるのだけれど。
 皆さんは、なぜ薄明光線がレンブラント光線と呼ばれるのか、知っているだろうか。
 俺は架空の脳内観客に語り掛けながら考え続ける(ちなみにこれは友達がいない人間には必須のスキル)。
『レンブラント』と『レントゲン』が似ていると思ったのも当然だ――どっちも由来が同じだから。
 どちらも人名なのだ。
 レンブラント光線の方は、レンブラント・ファン・レインという、なんかカッコいい名前の画家が由来になっているそうだ。
 レンブラントは、この光を、絵画上の表現として、創作に取り込んだというワケだ。
 ちなみに、単純に『光芒』とも言うらしい。
 なんかそれはそれで、スゴいカッコいいよなぁ――『光芒の魔術師』とか、カードゲームとかでいそう。
 ちなみに、以上の知識はウィキペディアにすべて書いてある。
 ウィキペディアで検索――これもぼっちには必須のスキルである。
 知識が豊富な友人がいる気分になれるぞ!
 ついつい思考が脱線してしまうが、俺はその少女を、もう数時間もぶっ続けで眺め続けているので、それはとても重要な存在なんだけれど、半ば背景と化しているような、そんな現象が起きていた。
 外にいる時に、音楽を掛けっぱなしにしているみたいなものかもしれない。
 俺はもう一度、少女に目を戻した。意識を集中した。
 《天国の階段》は、ここでは実際の薄明光線とは違うカタチとして、造形されていた。
 それは本当に階段なのだ。
 支柱のない螺旋階段。一段一段が宙に浮いているという、非現実的な建築。
 白くて薄くて透けているそれらは、何だかピアノの鍵盤のようにも見えて――それを少女が駆け上る中で、ステキな音楽が響き渡りそうな気がする。
 それはどんな音楽なんだろう。
 うっとりと、俺はそれを想像する。
 雑念を排除して、幻想的な世界に浸る。
 少女のいる世界は、あまりにも儚げで、美しく――現実から乖離している、切り取られたモノのように見えた。
 美しく雪が舞い散り、白銀に彩られた世界。緑と赤と電飾で飾られた街並み。
 少女の背中からは、白い翼が生えている。
 しかし、その服装は純白のマフラー、真紅のセーター、漆黒のスカート、黒ストッキングと、完全に現実世界のシロモノである。
 なので、少女は今まさに、現実とか天上に飛び立とうとしているように見える。
 彼女は天国に行くのだろうか? それは今から死ぬことの比喩なのか?
 それともかぐや姫のように、元々天上の世界の存在であり――元天使であり、今は帰路を行っているのだろうか。
 なぜ、彼女は帰るのだろう?
 それは彼女にとって、嬉しいことなのか、それとも悲しいことなのか……。
 俺は、少女を見ているだけで、自分の頭の中から、無限の想像が湧き上がってくる気がした。
 少女との出逢いが――俺を変えたのだ。
 彼女を見ているだけで、俺は主人公になれる。
 彼女を見ているだけで、俺はこれまで一度も書いたことのない、小説が書ける気がした。
 その時、俺と彼女の時間を掻き乱す、無粋な音声がこの部屋にも飛び込んできた。
「ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴る~」
 世が世なら、そして俺が引っ込み思案な引きこもりでなければ、『鈴なんか鳴らしてんじゃねぇええええええ!!』と大声で叫び返しても致し方ないような、そんな歌声である。
 歌っているのは無邪気な子供かなんかだろう。
 雪が降っているから浮かれているんだろうか……雪ではしゃぐとか、犬かよ! 庭を駆けまわっているんじゃねぇよ……現実の厳しさをお前は知らないだろうな……俺が教えてやろうか!!
 と、激情に駆られてしまい、そして俺は自分のしょっぱい現実に引き戻されてしまった。
「クリスマス、ホント死んでください……」
 俺が実際に口にしたのは、そんなボソボソとした、病人のような息遣いの言葉に過ぎなかった。
 クリスマスは恋人と性の聖夜とかホント都市伝説ですよね……お願いですよ、お願いしますから、俺が恋人がいないのは仕方ないにしても、俺以外の人類がその幸せを享受するのは我慢なりません、どうか、どうかなにとぞ神様、そいつら全員に神の炎を降らせてください……ホント、やっちゃっていいんで。
 まぁ、ただでさえ少子化とかなんとか言われているのに、クリスマスにイチャイチャするようなリア充を全員やっちゃったら、今度こそ日本が滅ぶかもしれないけれどな……。
 俺の知ったことかよ。
 偽悪的に思考してから、いやいや、と俺は気を取り直す。
 三次元のことなんてどうでもいいじゃないか……、二次元こそ至高なんだよ。
 俺はもう一度、純銀の世界で《天国への階段》を登る、美少女イラストポスターに目を移し、なむなむと拝み始めた。
「ありがてぇ……ありがてえよ……」
 宗教的にはなにか色々混ざっている気がするけれど、日本って元々そんな感じだし。
 惜しむらくは、このポスターがクリスマス仕様だっていうことだよな……いや、だからこそいいのか。
 俺はこの娘とクリスマスを過ごしているんだ! そう思い込め……。
 いや、ムリだ……明らかに彼女は天上に帰ろうとしているしさ! もっとこう、イチャイチャしている雰囲気を醸し出せなかったのかな、クリスマスイベントポスターなら! なんかこう、画面に顔を寄せているように見える構図とかさあ! シロハネ先生、ホントにお願いしますよ――まぁ、シロハネ先生には、そんな媚びたモノを描いてもらいたくはないという思いもあり、若干ファン心は複雑ですけどね、先生……。
 ちなみにそうだよ! 遅ればせながら俺の脳内の観客にも解説をするとすれば、俺が冒頭から見ていたのはこの美少女イラストだよ! 萌え萌えっていうよりは美麗系だよ!!
『現実から乖離した、切り取られたモノに見える』っていうよりはそのモノだよ! 実際に三次元から乖離した二次元だし、ちゃんと切り取られて端があるよ! A2サイズだよ!!
 それにしても、やっぱり三次元より二次元だよな……しかし、俺は一般的に言われるような理由で、二次元の方が良いと言っているワケではないのだ!!
 彼女が永遠に老いず、美しいから、可愛いから好きなんじゃないんだ……。
 それは重要な要素の一つかもしれないけれど、現実でもアイドルとかにそんなに興味を持てないし――もし何かの間違いで、俺に彼女ができたとしても、俺はその基準を『顔の可愛さ』ではなく『話が合うか』に置くだろうと思う。
 二次元の美少女が、素晴らしいのは、『現実ではありえない物語を伴った存在だから』というのが大きいと思う。
 しかし、必ずしもライトノベルや、アニメや、マンガのように原作が付随していなくたっていいのだ。
 シロハネ先生のこの作品は、オリジナル作品だけれど、そのシチュエーションによって、俺に凄まじい創造欲を掻き立ててくれる。
 いや、ただ妄想しているだけなんだけれどね……。
 俺、この作品をネタに、小説を書いてみたかったな。
 残念なことに、小さな頃から、あまり文才というモノには恵まれなかった。
 もちろん、それはイイワケなのかもしれないが……。
 いつか、ライトノベルの大賞に選ばれ、シロハネ先生の挿絵と共に物語を綴れたら――それが俺の夢だった。
 だけど、それは見果てぬ夢になった。
 でも、それはしょうがないことなのだ――俺は、シロハネ先生のイラストから、とうとう目を離すと、机に向き合って座った。
 部屋の中央にある、小さな低い丸テーブルだ。
 ただ、ぼうっとして、手を動かす。
 作業内容について、あまり深く考えないようにした。
 手を動かせば終わるし、それだけの話だ。
 しばらく時間が経過すると、それは完成した。
 俺は特に読み直すことはしなかった。
 さて、そろそろ出かけるとしよう。
 俺は――シロハネ先生に会いに行くんだ。
 アポイントは取っていなかったし、多分、当然のように会えることはないんだろう。
 もしかしたら、建物の前でウロウロしているところを通報されて、警察に捕まってしまうかもしれない。
 それでもまぁ……いいや。
 俺は多分、頭がおかしくなっているんだろう。
 それでも、俺は今日この日に、シロハネ先生の仕事場まで行くことを決めていた。

 そして、この聖夜に――俺はシロハネ先生に告白するのだ!
 あんな美少女イラストを描く先生が、美少女ではないはずがないだろうが?!

 俺はムリヤリに気分を盛り上げると、支度を済ませて、玄関から外に出た。
 外に出る際に、『そういえば、今日は家族、戻ってきてないな……家族皆で、外で飯でも食ってんのか?』というような発想がつい浮かんでしまい、虚しくなった。
 そうして、俺は1kの部屋が並ぶアパートを出た。

 雪は全ての視界を薄っすらと白く染めていた。
 東京では、雪が積もることは珍しい。今回も積もるまではいかないだろう。
 俺はあまり情緒的な人間ではないから、イラストではない現実で、雪が散らつき積もる風景を見ても、そこまで感動することはない。
 ただ単に『寒くてイヤだ』と思うだけである。
 しかし、それでも今日は、少しだけ雪が積もっているといい。
 そして、明日にも俺の足音が、地面に残っているといいな。
 そんな感傷的な思いを抱きながらも、俺は歩を進める。
 残念ながら、電車賃がないので、シロハネ先生の仕事場までは徒歩だ。数時間くらいは掛かるだろう。
 でも、大丈夫――きっと、深夜になるまでには着くから。
 時刻はまだ夕方。
 残念ながら、天使の梯子は拝めそうにない。
 空に、あのイラストの中の《天国への階段》が掛かっていたらいいのに、と少しだけ思った。
 それを駆け上がるというのも、それはそれで素晴らしい最期だ。

 健康のためによく歩くようになったため、経験則として思うのだが、スマートフォンのナビは、電車等を乗り継ぐカタチの、最短距離の検索ならば威力を発揮するが、表示画面の大きさに限界があるために、単純に地図として、徒歩する道先を調べるにはわかりづらい面がある。
 俺が方向音痴だからそう思うだけかもしれないが。
 だから、今回は俺はシロハネ先生の仕事場への道筋を、パソコンで調べた上で何回も確認し、頭に叩き込んできた。
 大体の方角や地理関係は頭に入っているので、多少、道を間違えても修正が効くだろう。
 ただ、やっぱり雪の中、傘も差さずに歩いていたからか、歩き出してから二時間も経つと、頭が朦朧としてきた。
 俺は、シロハネ先生の仕事場まで、きちんと辿り着けるんだろうか?
 思考がうまく定められなくなり、とにかく方角だけは間違えないようにしながら、ただただ足を前に出す。
 その単調なリズムの中で、俺はこれまでも何回も思い返してきた『あの場面』を思い出す。

「……時限爆弾式心臓病ですね」
「――はい?」
 白を基調とした内装に、無機質な匂いが漂う――そんな病院の一室で、俺は医師にそんな宣告を受けた。
「だから、あなたが今回倒れたのは、時限爆弾式心臓病が大本の原因ということです」
「え……というか、まずなんなんですか? そのナントカ心臓病……? ですか? っていうのは」
「最近増えているんですけれどねぇ……例えば、アレですアレ。例えばドラマなんかで最後の方に登場する、時限爆弾、あるじゃないですか」
「あ、ありますね……?」
「赤を切るか、青を切るのか。あなたならどちらを切りますか?」
「え……? あれ、答えなきゃいけないんですかね、コレ……じゃ、じゃあ青で」
「ドッカーン!!」
「……っぅぇ」
 丸い小さな縁なし眼鏡の、どこか可愛らしい印象のある背の低い男性医師は、大げさな身振りでスツールから飛び上がりながら爆発を表現した。
 ――心臓が止まったらどうする。
 いや、というかその表現が、もうシャレにはならない状態に、俺はなってしまっているということなのか?
「実は赤青のコードの下に、白いコードが隠れていたんですね~。残念でした!!」
「…………」
 今ならこの医師を殴っても罪に問われない気がしたが、多分気のせいなのでやめておこう。
「だから、時限爆弾なんですよ」
「ええと、ですから、それはなんなんですか……?」
「最近、というかここ数年ですね……めちゃくちゃ、もう爆発的に増えている心臓病なんです」
「いや、一回も聞いたことがないんですが……」
「発症の理由があまりにもバカバカしいのと、誰でも発症するリスクがある病気であるというのが理由で、医師・政府・報道機関等で戒厳令が敷かれていまして。実際に罹患した患者さんにしかこの病気については教えないことになっているんです。あなたにも、後で機密保護のための書類にサインしていただくことになると思うので、そのつもりで」
「は、はあ……」
「では、ザックリとこの心臓病について説明しますね。突然ですが、あなたは12月24日の深夜に死にます」
「――はぁ!?」
「深夜と言うとわかりにくいかもしれませんが、12月24日と12月25日の日付の境目としての深夜0:00ですね。その時刻にあなたは死にます」
「ど、どうしてですか……!?」
「あなた、リア充爆発しろ、とか思ったことはありませんか?」
「うーん……そうですね。恋人もいませんし、普通に思いますよ。恥ずかしながら、よく思う方だと」
「その負のエネルギーが、クリスマス・イブに極限値に達し、リア充ではなくて自分の心臓を爆発させてしまう、と。それが時限爆弾式心臓病です」
「……本気で言っているんですか?」
「そういう説もあるということです。まったくバカバカしい理由だが、説得力はある。それにしても――なんて皮肉なんでしょうね。リア充よ爆発しろと願っておきながら――願っているがために、自らを破裂させてしまうとは。
 何たる皮肉!
 何たる悲劇!!
 非リア充とは悲しい存在なのですね……!!」
 と言いつつ、目の前の医師は込み上げる嘲笑的な笑いを止める為に、口を手で抑えているようにしか見えない。
「ちなみにお医者さん、あなたには家族がいますか?」
「いますよ!! 医者は高給取りですからね! ……あ、可愛い娘の写真があるんだけれど、見ます?? 君には縁のない世界だろうからさぁ……」
 今ならこの医師を殺しても罪に問われない気がしたので、実行に移そうとしたが、俺はギリギリでそれを踏み留まった。
 
 ああ、何度思い返しても、腸が煮えくり返る――あの医師もふざけているし、病名もふざけている――しかし、一番ふざけているのは、そんなふざけた病気で今、死のうとしている、俺のふざけた人生そのものだ。
 俺の朦朧としていた頭が、怒りでスッと晴れた。
 身体はとても重たくなってしまっているが、案外目的地までの距離は既に縮まっていた。
 時計を見ると家を出てから、四時間以上が経過していた。
 そりゃ、これだけ進むワケだよ、と俺は思う。
 細かいルート訂正をしながら、一歩一歩、踏み締めるように進む。
 もう、三十分以内で、シロハネ先生の仕事場に着く。
 そろそろ着くだろうというそんな頃になって、俺の中で、『なんでこんなバカなことをやったんだ』という思いが込み上げてくる。
 いっそ、ここら辺でもう倒れて死んでしまおうか。
 そうすれば、少なくともシロハネ先生には迷惑が掛からない。
 ただ単に、頭のおかしい若者が、道端で凍死しただけで終わる。
 それでも、俺は自らのエゴのために、シロハネ先生の仕事場を目指し続けた。

 そして、シロハネ先生の仕事場が目に入った時、何回か見たこともあるその建物を見た瞬間に、気が抜けてしまって、俺はその場に倒れ込んだ。
 立ち上がろうとするが、もうムリだ。
 這いずろうとして、諦めた。
 ここが、俺の限界だったってことだ。それは俺に相応しい、人生のオチのように思える。
 何で、俺はこんなバカバカしいことをしたのか?
 ムリを言ってでも、シロハネ先生にアポイントでも取ればよかったのかもしれない。
 倒れて医者に運ばれて、辛うじて残っていた預金もその医療費の支払いですべて尽き、体調の悪化からロクに働けず、もう死を待つだけになった俺。
 そんな境遇に、同情や憐憫を抱かせて、特別扱いしてもらえばよかったのかもしれない。
 そもそも、徒歩で行く合理的な理由がない。死にかけでそんなことをしたら死ぬだろう。借金でもして、公共交通機関にでも乗ってくればよかった。そのルートだって、頭にはちゃんと入っている。
 でも、俺は多分、最後に物語の主人公のように『報われるかどうかすらもわからないギリギリの努力』というモノを、『一世一代の勝負』というモノを、やりたくなってしまったのだろう。
 現実で、天上からの女の子と出会うこともない。
 創作で、小説を書けるというのでもない。
 そんな俺が、何がしかの特別として、現実に爪痕を残そうというのは、やはりただの傲慢だったらしい。
 次第に、意識が揺らいでいく。
 そして、最期に頭の中が真っ白になって、俺という人間は終わった。



 □

 シロハネの名で知られるイラストレーターである、大葉揺人(おおば・ゆれと)が雪に埋もれたその青年に気付いたのは、彼がこの寒空の下、コンビニへの買い出しを済ませた、その帰りであった。
 揺人は、はじめそれが信じられなかった。何かマネキンのような人形が転がっているのではないか、と思った。
 しかし、そうではない。
 ウドの大木に喩えられる、朴訥とした印象の、大柄な男性である彼が、その大きな手を差し伸べると、それは体温がまったく感じられないものの、確かに人間だった。
 揺人が脈を取ってみると、脈拍はまったく感じられない。
 青年は死んでいた。
 揺人は混乱しながらも、人生で初めて、救急車を呼んだ。
 受付の相手に、だいぶしどろもどろになりながらも、自宅兼仕事場の住所を告げる。
 そして、それを待っている間、揺人は青年の顔を見て、何かに気付いたようだ。
 彼は何を考えたのか、ショルダーポーチからミニ色紙を取り出すと、それに絵を描き始めた。
 そのイラスは、白いマフラーに真紅のセーターのあの少女が、雪の中で微笑み、手を振っているというモノだった。
 彼は自分のサインを入れ、青年の名前も描き入れようとしたが――名前がわからない。
 だから、代わりに彼はこんなメッセージを入れた。
 それは彼なりの、餞の言葉だった。

 流暢な英語の筆記体で、それはサインと共に右端に書かれている――



 ――『Merry Christmas!』



(終)



※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。



 多少わざとらしいが、私はそんな風な注意書きをして、この物語を書き終えることにした。
 この物語をフィクションだ、現実とは何の関わりもない――と言い切ることは不可能だし、この小説を送る相手が、一番それをよくわかっている。
 私は特に公式に発表するつもりもないこの小説を、どうして書いたのだろうか。
 あの出来事からこちら、ずっと傷心中の揺人を励ますためだろうか。
 案外、ちょっと皮肉るくらいの気持ちなのかもしれない。
 いい加減、次に行く時期だろ、とか。
 お前はプロだろ、待っているオタクどもがいるんだぞ、とか。
 小説家は、自分の人生を切り売りするモノだそうだが、ライトノベル作家はどうだろう。
 ただ、自分に起きた出来事を物語にすることで、整理することができることはある、と私は考えている。
 その手法で書いた小説が(当然未発表原稿だ)、他にも二、三本ある。

 全ての事の発端としては、一人の青年の死があった。
 彼の名前は杉林暮太(すぎばやし・くれた)といって、数ヶ月前に、末期癌の宣告を受けた。
 しかし、それ以前に彼の不幸は今年に入ってから立て続けに起こっている。
 今は年末だけれど、今年が始まった辺りの――一月に、家族三人が外食をしに行く途中で、交通事故で死んでしまったのだ。暮太は付き合いが悪いタチだったそうで、死を免れた。
 身寄りのない、天涯孤独の身である彼は、そのままの生活を維持することも出来ずに、小さな風呂なしトイレ共同のボロアパートに引っ越した。
 そして、その粗悪な環境もあったのか、家族が死んだのがショックだったのか、とにかく精神的にも肉体的にも参ってしまったのだろう――結果として、進行していた癌に気付かなかった。気付いても治療費はなかっただろうが……。
 癌と言えば、老人の病気と思いがちだが、今では若年性の癌も増えているそうだ。
 とはいえ、流石に十代で罹るのは不運としか言えないと個人的には思う。
 暮太は、大学にも通えなくなり、バイトも体調的に、出来る時と出来ない時があった。
 預金残高はみるみる内に減っていった。
 更にずっと病院に入院するだけのお金もなく、半端な癌治療を受けたのが仇となり、彼はどんどん貧窮していった。
 暮太がいよいよ追い詰められた頃に、私達は彼と出会うことになる。

 シロハネというのはかなり特殊な――類を見ないタイプの創作タッグだ。
 まず、シロハネというのは美人イラストレーター的な感じで売り出された。
 生まれ持った美貌を笠に着るつもりはさらさらないが、私の顔立ちはどうやら売り物にできるようだったので、私は大学時代から付き合いがあった、揺人と一緒になって『シロハネ』というイラストレーターを売り出すことにしたのだ。
 元々は編集者からの提案だったのだが、私も積極的にそれを推し進めたカタチになる。
 イラストは揺人が担当し、私はプロモーションでの『シロハネ』モデル役を買って出たのだ。
 しかし、単純に私が揺人の影武者的な存在に甘んじているかと言えばそうでもない。
 私はそもそもライトノベル作家なのだ。秋月色葉(あきつき・いろは)というペンネームで、小説を書いている。
 メインの作品の挿絵は、揺人に担当してもらっている。
 つまり、私が小説を書き、揺人がイラストを描く――というライトノベルとしてのコンビであり、なおかつ、私が写真を撮られ、揺人がイラストを描く――というイラストレーターとしてのコンビでもある。
 私だけが一人二役で、揺人はイラスト描いているだけじゃん、と業務形式だけを並べれば思わなくもないが、しかし、現代オタク文化の中でイラストは物凄く重要な位置を占めているので、文句があるはずもない。
 そして、『シロハネ』がサイン会を行う時には、私がサインと顔を担当し、揺人は傍らに頼りないボディーガードのように立っているという謎の構図が発生していた。
 今年の秋――10月に行われたサイン会で、一人だけ、『シロハネ』の本体というか、イラストレーターが揺人だと見抜いたのが暮太だった。
 暮太は、
「本当は、あなたがシロハネ先生ですよね!?」
 と熱病に罹ったかのように揺人に問いかけ、自らの境遇や、どれだけシロハネのイラストを愛しているかということを語ったらしい。
 自分のイラストが、とても苦しい現状に追い込まれている人間に、一筋だけでも光明を与えている。
 そのことに揺人はいたく感動したらしく、プライベートな連絡先や、仕事場の住所も書かれている名刺を渡した。
 更には、一度仕事場に遊びに来て欲しい。なんならそこで君の為に絵を描こう、といったことをしどろもどろになりながらも喋ったそうだ。揺人はあまり喋るのが得意ではない。
 しかし、暮太はその時は、かなり遠慮していた様子だったそうだ。
 それでも、揺人は暮太が自分のアトリエを訪れてくれるのを、かなり楽しみにしていたらしい。
 揺人側は当時、暮太の方の連絡先を把握していなかったから、待つばかりで気を揉んでいたようだ。
 だが、ずっと連絡はないままだった。
 そして、12月25日に日付が変わった頃に、揺人はもう冷たくなった暮太を発見した。

 揺人が暮太の死体を足許に、イラストを描いていたところ、それを冷たくなった胸元に置くところは、どうやら周囲の人達に目撃されていたらしい。
 揺人は気が動転していたのと、絵を描くのに集中していたのもあって、周りにあまり気を配れなかったんだろう。
 揺人が発見した時点で、暮太はもうこの世に留まることはできない状態だった。
 揺人はちゃんと救急車を呼んだ。
 だというのに、心ない人々は、『もう死のうとしている少年を見ながらも、創作欲に取り憑かれ、絵を描いていた』と、彼にゴシップ的な悪評を叩きつけた。
 また、暮太の胸元のイラストが、写メられて、ツイッターにアップロードされることで、揺人が『シロハネ』のイラスト担当だとバレてしまった。
 それもあって、ネットでは大きな祭りになってしまった。
 三流雑誌記者が家主の許可は得たとかなんとかで、暮太の家に忍び込み、机に置いてあったという遺書を無許可で雑誌に載せた。

 私もイケないとは思いながらも、作家としての性なのか、読んでしまった……そこには自分の今年に入ってからの悲劇の連鎖や、家族への想いや、シロハネへの想い――将来はライトノベル作家になりたかった、という旨が書かれており、私は涙ぐんだ。
 特に、私はライトノベル作家でもあるから、その身分を暮太に明かして、色々と話をしてみればよかったと後悔した。
 しかし、後悔先に立たずだ……先に後悔することは、誰にもできない。
 そして、その遺書の本文中には、揺人の仕事場を何回も訪れてはいるものの、勇気がなくてインターホンを押せない、ということも書いてあった。

 そして、暮太の遺書は、こんな風に締めくくられている。

「これから、『シロハネ』に雪の中、歩いて会いに行くことについてですけれど……。
 僕は、死にに行くのではありません……ただ、気持ちを伝えたいとは思ったんです。
 誰もが、何でわざわざそんなことをするのか。それも徒歩で行くなんて、バカじゃないか、とかそんな風に思うのかもしれません。
 でも、僕はずっと考えてきました。
 自分はなぜ生きているのかって。
 生きるというのは何なのかって。
 生きるということは、何を為せば、満足なのだろうか――と。
 僕は、他の人と比較すれば、確かに不幸だけれど、でも別に他の人になれるわけじゃありません。
 僕は僕の人生そのものを、考えなくちゃいけないんだ。
 物語の主人公は、困難を達成します。
 ギリギリの限界を越えて、問題を解決します。
 僕にとって、『シロハネ』は、特別な存在でした。
 まるで、物語上の主人公みたいに、スゴいと思っていました。
 そんな人みたいに、僕はなりたいと思いました。
 こんなバカなことで、それが達成できるとは思わないけれど――それでも、僕はこんな人生の最期に、バカらしい挑戦をしたいと思いました。
 人から見れば、何の意味もなくて、無価値で、そして失敗に終わるかもしれない挑戦だけれど、僕は物語みたいな最期を、選び取りたいと思っています。
 では、行ってきます」

 この騒動で、炎上を起こしている人達は、きっと楽しいから、気持ち良いから、成功している人が妬ましいから、心ない言葉を吐きかけているのかもしれない。
 暮太の遺書を読んでも、別に『シロハネ』を非難することに躊躇を覚えないのかもしれない。
 だけれど、これだけは言わせて欲しい。
 相方が、まるで狂気の創作者のように言われるのだけは耐えられない。
 揺人は、当然、暮太の死にインスピレーションを得て、絵を描いていたんじゃない。
 ヤツは、ただ、自分で言った、ちゃんと出来ているかもわからない約束を、守ろうとしただけなんだ。
 死にそうになりながらも、オタク文化に染まりきって、這々の体で、クリエイターに『好きだ』と言うためだけにサイン会場までやってくる、そんな最高のバカ野郎に、最期には自分に会いに来るためだけに、雪の中を徒歩で来やがった、救いのないクレイジーな男に、ただ自分の応えられるだけの術をもって、応えてやりたかっただけなんだよ。
 本当にそれだけなんだ……。

 だけど、揺人、お前はちゃんと前を向いてくれ。
『シロハネ』としても、ここが正念場だ。
 私達は、ここで潰されるワケにはいかない――ここで潰されたら、それこそ暮太に会わせる顔がないんだからな。
 私が書いたこんな陳腐な小説だけで、お前の心が立ち直るだなんて、そんな奇跡は期待していないさ。
 だけれど、きっかけくらいにはしてくれると嬉しいな。 
 クリエイターは、どんな時にも下を向いちゃいけないんだ――下を向きそうになることもあるけれど、それどころか顔を上げることがしんどい時すらあるけれど、それでも、ずっと下を向き続けてはいけない。
 だって、ファンにとって、創作者っていうのはヒーローなんだからさ。
 暮太は、お前のことを、主人公みたいって言ってたぞ。
 お前に憧れて、あんなバカな真似までしちゃったってさ。
 私にはとっても真似できないけどねぇ……あんなのさ。
 でも、その期待に応えるために、今日も私達は、何かを創っているんだろう。
 だから揺人――お前は描け。
 しんどくったって、線を引くんだ。
 血を流してでも、誰かにとっての理想を体現しろ。
 それが、クリエイターを続けるということだと、私は思う。

(了)
天田龍太郎 

2015年12月22日(火)12時32分 公開
■この作品の著作権は天田龍太郎さんにあります。無断転載は禁止です。

■作者からのメッセージ
 というワケで、メタ的に捻ったりなんだりしてある作品です。テーマは多分『雪と美少女』なんでしょうが、テーマ性としてはあの扱いで果たして許されるのか……?
 甚だ疑問ではありますが、書いてみたらそうなってしまったので、まあ仕方がない。
 リア充爆発しろ小説と見せかけて『クリエイターって果たしてなんなのか』的な小説です。

2016年01月19日(火)10時48分 天田龍太郎作者レス
リメイク案

 リメイク案について最後に語ってみるつもりでしたが、ちょっと返信で力尽きましたw リメイクについて書いたメモをちょっと貼ってみます。場違いでしたらすいません。

『死に隣接する劣等者。
運命と巡り合った凡才。天才に刺激されて、絵が劇的にうまくなる。
天才。ロング。ルージュとノワールのツートンカラー。モデルにして、小説家。絵を凌駕するほどに映像的な文章を書く。

登場人物表。

路面状況。二十代で何やってんだ。歩くスポーツ。夜のピクニック。三月のマーチ? がん手記。身体を引きずるような。
親は死んでいなくていいかも。
絵を見て書いたシーン。もっと早くから始めていれば。
叶わない夢に意味はあるのか?
俺の人生に意味はあるのか?

夢は大抵叶わないんだよ。私だって、最初は下手だった。努力ができることすら才能と言うのなら、私は社会生活や集団行動に不適応になるくらいに、小説にのめり込む才能があった。 気がついたら一日最低十時間以上小説を書いていた。私がこの生きづらい社会で生きていくには、小説を書くくらいしか方法がないと理解していた。それは私の生存戦略だった。私には才能があった。その言い方がおこがましければ、私には適性があった。生まれつき、小説という世界で泳ぐための、背びれや尾びれがついていた。世の中には適性のないヤツがいる。努力が足りないヤツや、努力ができないヤツもいる。そしてーー努力をするための時間がないヤツもいたんだよ。
なあ、××、◯◯は生きていたら、どんな小説を書いたかなあ。
クリエイターになれるヤツなんて、適性があって、努力もうまくて、運もよかった一握りだよーーだが、××、お前は一握りになれなかったヤツらのことを笑えるのか。
私達はな、一人でやっているように見えて、実際にはそうじゃない。
クリエイターになれなかった大勢の、亡霊みたいなその夢を両肩に担い、理想を体現する存在にならなくちゃいけないんだ。
それこそが才能を持って生まれた者の義務なんだよ。

違うんだ。俺は君の尊敬に値する人間なんかじゃないんだ。コンビニの帰り道に非日常としての彼に出会う。

シロハネはウソを吐いている。

現在 過去 作品 未来

才能の義務 才能者の義務 ノブレスオブリージュのもじり。

才能者の義務については、ノブレスオブリージュのもじりみたいな感覚です。
やっぱり天才には勝てないみたいな劣等感、生まれつきの差異に対するもどかしさみたいなものをうまく乗せられたと思います。

読者を殺すつもりで書きました。冬企画◯位のリベンジ作品です。

この作品は百パーセント才能あるクリエイターへの憎悪で書きました。

このいのちのつかいかた

案外飄々として計算高い。
人が良くて、気が弱い。

出来損ないこそしたたかで、他人の迷惑を顧みず、自分のやりたいことを成し遂げる。

がん。ステージ。生存率。外見。』

 グダグダで申し訳ありません。まだちょっとやりたいことがなくもないですが、とにかくこの冬企画でやれるコトは大体やったと感じます。
 今回の機会に感謝致します。
 

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2016年01月19日(火)10時41分 天田龍太郎作者レス
タカテンさん

 一文目でおっと目を惹いたんだからそのままイケばよかったですねw そこはホントに失敗しました(笑)

『作中作を使った複雑な構図で、単純な物語とは違う味がでていると思います』

 ありがとうございます。

『・ 冒頭のその後』

 多分レンブラントとか何とかは二、三行で収めておけばよかったんだと思います。焦って書いた面もあったので、文章量を稼ごうと思ったのが間違いでした。

『難しいところですが、自分なら揺人が暮太の死体を前に絵を描くシーンを冒頭に持ってきて、どうしてそんなことをしたのか、揺人は狂人なのか、という興味を読者に持ってもらえるような展開にするでしょうか』

 スラップスティック的に言えばそのシーンの扱いをもっと狂的なモノにするべきだったでしょうねw

『「クリエイターって果たしてなんなのか?」という主題をもっと最初から明確にしてもいいかなと思います』

 その方向性で頑張ってみます!
 

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2016年01月19日(火)10時34分 天田龍太郎作者レス
青出さん

 青出さんの作品も読ませていただきましたが、非常に俺好みでした。
 タイトルが今回の作品群の中で一番秀逸で、俺としては『冬企画ベストタイトル賞』を授与したいくらい。
 で、タイトルが気に入って読もうとしたらメッチャSFだったのでしょっぱなからつまずきましたw とにかく読んでみようと思って、読み進めたら意外と面白かった。それ以上に俺好みだった。
 読んだ作品の中ではでは完全に技術が突出していたいりえミトさんの雪森愛さんの作品の次の点数をつけましたからね。かなり気に入りました。
 タイトルのセンスがラノベ寄りすぎてウンザリして読まずにいたら、どれも高得点にいった作品群が四作品くらいあったんですが(参考のためにも読んどきゃよかったw)、そうした中でタイトルでも内容でも異彩を放っていたのがミトさんの作品ですね。
 全部読んでないのでわからないんですけれど、ラノベっぽくないテイストで書かれたのが青出さん、俺、馬さん辺りで、その中でもちゃんと物語としての完成度を上げて、評価されているのはスゴいと感じました。
 俺の作品も(他の評者と比べれば)気に入ってくれた感が伝わってきて、やっぱり同じような魂の傾向を持っている人っていうのはいるよねえ、って感じます。好みの方向性というか。そういう人に出会えるととても嬉しいです。

 作中作が色葉なりの応援歌なのだ、とある面深読みしてくれたのは嬉しいですねw そういう風に受け取れる作品でもあるとは思うんです。描写が足らないせいで、ある程度そこら辺を読者任せにしてしまったのはよくなかったですが。
 この作品はリメイクする予定なんですが、その時はもっと『創作と才能』について掘り下げたいと感じています。その意味でも今回青出さんに熱いレスを貰えのは嬉しかったですね。

 そこまで掘り下げられなかったんですけれど、色葉はかなり暮太に感情移入していたとは思いますね……ライトノベル作家志望の若者が、無惨に生命を散らしたことについて何も思わないワケがないし。そこら辺に関しては、逆に俺が色葉に訊きたいくらいなんですが、やっぱりコメディタッチにしちゃったのは、シリアスに書けるくらい色葉も回復していないからなんじゃないかと後付的に妄想するんですよねw 青出さんの深読みは作者として非常に興味深いし、嬉しいです。
 
『意欲的な試みだったと思います。作風も前半と後半で変えようとしている意識が感じられて、よかったです』

 今回の挑戦自体を評価してくれる初めてのレビューなんじゃないでしょうか?w 素直に嬉しいです。今回は構造だけにこだわって、その一点だけで書いちゃったのでその他のフォローがかなり疎かになってしまいました。物語そのものの満足度を上げていきたいです。

『ですが、それまでの心情描写や情報説明が少しくどく感じて~という情報も同様です』

 レンブラントなアレについてはカットした方がよかったともう散々言われているし、俺もそう思います。
 健康のために歩き始めたについては『時限爆弾式心臓病』なんてバカバカしい病気の人間がまともな努力をするはずがない、健康のために歩き始めるワケがないので、実は伏線です。1kのアパートを出る時に家族を思い出すのと同じ。
 実際にはシリアスな追い詰められる要因があるんですけれど、それをぼかしています。
 何かこう、読者を意識し過ぎましたね。作品に集中しきれていない。揺人への作品なら、なんで伏線を意識するんだ? となっちゃいます。悲惨な事実から色葉も目を逸らしているというイイワケは成り立つでしょうが、イイワケにはなっちゃってる。
 作品そのものに注力し、ヘタに読者を意識し過ぎるのは辞めた方がいいようです。
 冗長な表現により、本題が圧迫されているという主張はその通りなので、冗長な描写は楽しい部分だけに限って、後は物語そのものを描いた方が良さそうですね。

『こういった情報よりも、たとえば冒頭で必要なのは、「イラストがどういったものなのか」「どれほど魅力的なのか」ということなので、のっけからいち早く少女の描写をしたほうがよいと思いました』

 これもくり返し批評で言われているマイナスポイントですね。

『作中作が前半にある以上~ほとんどが後半で明かされる真相と同じ内容だったので、逆にごりごりのファンタジーやSF、ラブコメに振り切って書いてもよかったかもしれません~後半の真相パートで、「あれはそういうことだったのか!」と思わせられれば、さらによくなると思います』

 作中作作品としては驚きが足りないという感じなんですね。
 前半がクソほどポジティヴで、後半がドシリアスだったら、ちょっとおもしろかったかも。

『“なので、少女は今まさに、現実とか天上に飛び立とうとしているように見える。”「現実」と「天上」は並列にならないのではないと思いました』

 現実『から』ですね。誤字。

『楽しませていただきました。これからも頑張ってください!』

 純粋に今回の作品を楽しんでくれる人が一人でもいてくれて、だいぶ報われました。熱い批評をありがとうございます!


 

 

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2016年01月19日(火)10時57分 天田龍太郎作者レス
テレグノシスさん

『結局この物語は誰に焦点を当てているのか、誰が幸せになればいいのか、捉えどころが難しいようにあったと思います』

 多角的視点で事件を浮かび上がらせる方法としては各編が短くて薄味ですし、また、片方が作中作であるというコトが物語としての掴みづらさを助長しているのかな、と感じました。

『時限爆弾も、有限の命の灯を表現するならむしろこの設定を序盤で叩きつけると、物語に緊張感が生まれたのかなと思います』

 主人公の余命が短いコトが問題じゃなくて、創作論的なモノを主題にしたいのだ、というのがこの意見を見て思うコトです。

『なにせ主人公が死ぬ直前にいきなりこの設定が来たので、主人公の死があっけなさすぎ、な印象を与えてしまいました』

 うーん、なるほど。呆気なさを味にしたかった面もあるんですが、もうちょっとカタルシスを感じさせる盛り上げが必要かもしれませんね。

『書き出しの文章はとても惹かれました』
 
 ありがとうございます。

『エンジェル・ラダーを説明する序盤では、神秘的な風景を軽快な文章で連ねて言っています。
ただ、語り手がどこにいるのか? 家なのか、外なのか? あるいは幻想世界なのか? が読み進めないと分からないので、そこがもったいないところです』

 前にも書きましたが、ファンタジーと思いきやイラスト、というオチを早い段階でちゃんとつけないのは失敗でしたねw

『しかし、それを補うのが、創作意欲を震え立たせるラストの文章です。
ここをどう評価するかがポイントだったように思います』

 ラストを評価しつつも-10点かーw 厳しくはあるけれど、全体としてどうか、物語としてどうかを見ると辛めにつけざるを得ないですよね。当然だと思います。
 

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2016年01月19日(火)09時58分 天田龍太郎作者レス
99kgさん

 レンブラントとレントゲンは冒頭の『レン』が共通していますね。響きとして似ているという意味です。またレンブラントはオランダの出身、レントゲンはドイツの出身で、グーグルマップで調べてみるとこの二国は隣接しています。両方とも西洋人であるゆえに名前の方向性が近いという事情も加わるでしょう。だから響きや名前が人名であるゆえに似ているという直感は正しいのではないでしょうか。
 青木まりこは日本人であり、響きもまったく似ていないので対例としては極端であり、的を外しています。

『そんな事を思っていると
>俺はその少女を
少女の存在すっかり忘れていました。誰?
そもそも一行目に出ただけで、この時点では絵なのかテレビなのか本物なのかも分からないまま放置状態でしたからすっかり抜け落ちてました。』

 ただ、こっちについては妥当な指摘であり、総合的に言っちゃえばレンブラントの下りは丸々外した方が正解だとは俺も思います(笑)
 些細なコトで反論して申し訳ない。

 初めから幻想的なイメージを押し出した方がよかったですね。
 批評の方向は少しムカつきますけれど(あなたの作品を読みたくなりました)、ただ、別に俺も幻想性の表現として、あのシーンが魅力的だったとは思えません。未熟だと思います。
 階段に手すりはないでしょうね……手すりがあるというコト自体が、現実味を帯びていて『幻想性』からは外れると俺は感じますし……。
 ぶっちゃけ、なんとなく『フェイトアタラクシア』で主人公がヒロインと天上への階段を駆け上がるシーンを模倣して書いた感はあると思います。
 なんかもっとこう自分の頭を捻らないとホントに魅力的で幻想的なシーンは書けないのかもしれませんねw
 現実的な存在が、非現実的に飛び上がろうとしているからこそ物語性があると俺は思うんですけれど、しかしそれを総じたイラストが『幻想性』を帯びるのか? というとちょっと違うかもしれませんね……。
 イラストの内容にここまで突っ込んできたのって、99kgさんくらいなんじゃないでしょうか。ホントはこのイラストの内容はかなり重要であるはずなので、もっと煮詰めなきゃいけませんね……読者に納得してもらえるように……。

『>「最近増えているんですけれどねぇ……例えば、アレですアレ。例えばドラマなんかで最後の方に登場する、時限爆弾、あるじゃないですか」
最後の方と言われても何なのか分かりませんでした。普通ドラマの最後に時限爆弾って出るもんですか? と思ってしまう。』

 ミステリードラマとか、二時間サスペンス、ミステリーアニメの劇場版とかもっと限定的に括った方がよかったですかね。ジャンルをうまく言い表せないんですけれど、最後に『時限爆弾が登場し、赤か青のラインを切る』というオチをつけるというのは『死亡フラグ』ばりにテンプレ化した表現なので、『ドラマなんかで』という前置詞にそれほど俺は違和感は感じません。

『結局前半部分は作家秋月色葉の書いた物語という事なんですよね。
揺人の汚名を晴らす為の執筆という形のはずなんですが、
どう見てもただの死体を前に絵を描き始めた男です。ハリーの災難か!?
揺人を庇護したり元気づけたりする為に書かれた物なんですよね!?』

 コレについては何度か言われているコトですから掘り下げが足りなかったですね……。ただ、前にも書きましたけれど、悲劇的な人生を喜劇的に脚色するというのは暮太の死に落ち込んでいる揺人には有効な手法だと俺は思わなくもないです。何の報いもなく死んだように思える暮太だけれど、だとしても彼は何らかの希望や目標を持った主人公たりえた存在なのだ、と。故人の人生の再解釈ですね。ただ、作中表現だとただ単に『炎上したから落ち込んでいる』と取られても仕方ないし、そこら辺は描写が不足しすぎていたと感じます。色葉の創作については多分そんな感じのニュアンスですね。
 作中作に登場するイラストですが、これは作中の現実にもちゃんと存在するモノです。リメイクするとしたら、この作品を暮太を創作者へと駆り立てた象徴にしようと考えています。
 今回の作品について言えば、作中作のイラストに『天国への階段』が登場した物語的意味はありません。ただ単に揺人の最近の作品であっただけの理由です。

『「暮太はお前の事なんか知らない」(小説中の暮太はシロハネを美少女と思ってますからね)
「とにかく描け。死体を見ても通報よりも先に描け」』

 揺人、お前は暮太の人生に過度に感情移入し、まるで我が事のように扱っているけれど(死に際したんだからそれも当然だろう)、しかしお前は彼の人生においてはほとんど部外者みたいな側面もあって、暮太は暮太でお前のことをわかりきらないままに、自分の願望で動いたんだよ。ちゃんと自分の人生を自分を主人公として生きたんだよ、という感じでしょうか。
 自分の人生と他人の人生をちゃんと割り切れ、という感じですかね。ただこれだと暮太の人生をお前が背負うんだ、的なオチの主張に続かないので、チグハグだとは俺も感じます。
 あえて喜劇として書いた理由を、読者に任せてしまっているのがよろしくない。のでしょう。
 まー、色葉自身が実は精神的にキツくて、シリアスには書けなかったという事情も想像できるかもしれませんねw どっちにしろ、中途半端になるのでリメイク案では作中作自体をカットする予定。

『総評としては結局誰の物語だったのか、何が言いたかったのか、が分かりませんでした。
肝心の「クリエイターとは?」が単に辛い目に遭っても描け、というくらいで特に驚きがない上に、作中作からそれを感じ取れない。
「クリエイターとは?」というのも作者コメント見なければ、そういう事を言及していると感じられないと思うんですね。何がテーマなのか分からない。
「それを含めて作品だ」認める人もいるかもしれませんが、少なくとも自分は作品中で全て語られるべきだと思います。少なくとも公募、発刊作ではそうです。』

 ここら辺は「その通りだな」という感じです。奇を衒いすぎて、物語そのものの満足度を下げてしまったのが今回一番反省すべきポイントと感じました。

『暮太がどうしてシロハネの招待に気付いたのか、割と重要だと思うのですがそれも分からない。
それにその場で揺人は認めているのにその時点で情報は拡散しなかったんでしょうか。サイン会なので大勢のファンがいたはずです。』

 暮太がシロハネを好き過ぎるからフィーリングで気付いたとかじゃないですかね……。多分、密会に近いこしょこしょ話のやり取りだったんだとは思いますが、そこら辺、掘り下げなかったのは俺なので突っ込まれても仕方ないかな、とは思います。

『・予想外の展開
・ついていけないくらいの転がり落ちるジェットコースターのような展開
のみに重点を置いているのなら成しているかもしれませんが、ただそれだけという感じです。ただただ付いていけない。

なんかリレー小説でも見せられているのか!? みたいな感覚。
構成とかテーマとか伏線とか、そもそも作品として成立していないように感じます。
世の中にそういう文化があるのかもしれませんが、ちょっと私には分かりませんでした』

 次回作ではちゃんと物語になるように頑張ります……何だかんだで色々な点に触れてもらったので、的外れな点も目立ちましたが総合的にはかなり参考になりました。ありがとうございます。
 

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2016年01月19日(火)09時25分 天田龍太郎作者レス
いりえミトさん

 人気作者様だー! 人気作者様が来たぞー!! (何
 覗いていただいてありがとうございます……。

 トリッキーさに着目し過ぎて内容がないよう状態になってしまったコトを皆さんに指摘されてしまいましたがねw

 感情が伝わってくる、キャラクターに躍動感がある、という意見については、俺がやりたい創作の方向性をちゃんと感じてくれているなあ、と嬉しくなりました。
 ちゃんと感情を持ってそこにいる、という意味ではそんなに薄いキャラクターを書いたつもりはないんですが、ケレン味が足りなかったのかなー。

 次は唸らせるようなストーリーを書きたいモノです。いや、書くぞ!!

 文体を高く評価してくれたのは嬉しいです。純文学的、と言われると不思議な感じなんですけれど、確かに文体と構造以外が弱かった作品だからこう、マイナー感があったのかな……w

 感想ありがとうございました! 勇気づけられました!!

 こう、いりえミトさんのような人に対するコンプレックスをリメイク案の糧にしようかと考えています(笑) なんちゃって。
 

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2016年01月19日(火)09時21分 天田龍太郎作者レス
あまくささん

 あまくささん感想くれてたんだー!w 最近は感想を貰うコトもなくなったかと感じていたから、匿名性とはいえこれは嬉しい。
 出来たら長編の間の『それはどこにでもある彼岸』はぜひぜひ感想が貰いたいな、と感じます。アレはあまくささんと色々討論した結果、ラストが変化した作品でもあるので。返礼というワケではないけれど、俺も時間を作ってあまくささんに教えてもらった他のあまくさ作品も読もうと考えています。

 やっぱりキャラに魅力はない、っていう評価になるんだなあ……。
 もっと極端なキャラを書いた方がいいのかもしれませんね。
 物語の内容自体は確かに薄いと言われても仕方ないのかもしれません。

 読みやすさに気付いてくれたのは嬉しいですねw 俺のまともな部分かもしれない。

 伏線はいくつか貼っていますが、暮太の境遇はかなり酷いモノだな、というのは俺も思います。1kはもう一人暮らしとしても底辺の部屋だし、もうそういう部屋でも借りるのが厳しいんでしょう。

 迷宮的な構造は『ただある』だけで、『それが落差になって楽しい!』まではなっていなかったと俺も思います。
 リメイク案については、『創作と才能』に着目して、メタ構造やギャグみたいなのを外そうと考えています。
 もっとキャラ立てにもこだわらなきゃね!w

 感想ありがとうございました!!
 

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2016年01月19日(火)09時02分 天田龍太郎作者レス
モンハンほもさん

 前半部に限れば「はぁ? 何なのこの作品。ふざけてるの?」と失笑を買うための小説だと言えなくもないですねw
 大体、あの時点では揺人がかなりよくわからないキャラだし……。
 前半に限定するなら、もっと揺人がマッドでもいいんですよね。死体を目にして創作意欲を掻き立てられて、絵を描き捨てて高笑いしながら去っていくようなキャラでも(笑) まあ、スラップスティックかシリアスか、どっちかに振り切れなかった時点で負けなのでしょう。

『ということで、作者コメントに頼らないで作品だけで語りましょうよ、と苦言を呈させていただきます。構成的に作中作からスタートするより、先に「これはシロハネというイラストレーターに憧れた杉林暮太という男の物語である」ということを明示した方が個人的には好みです』

 これに関しては完全にその通りで、結果的にリメイクにも参考にさせていただく意見となりました。
 作者コメント・あとがき・批評・自分語りに執筆エネルギーを使いがちな俺ですので、もっと『作中での表現』を頑張ります。

 文体についてはそこそこいいんじゃねえのー的な意見はもらえたのは嬉しかったですねw ただモンハンほもさんの褒め言葉には皮肉が隠れているような気がする……w わかりにくくてすいません。こう技術や基礎がないのに高度な構成だけ使うだけだからわかりにくくなるんだよ、わかったかい俺。

 素直に書かれたからこそ刺さる感想というモノもあり、まさにあなたの感想がそうでした。ありがとうございます。
 

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2016年01月19日(火)08時55分 天田龍太郎作者レス
おとぎの国のアリスさん

 おとぎの国のアリスさんって、『。。で始まる恋もある』の作者さんか……批評者の顔が作品で見える感があるのは面白いですねw
 俺は正直、『。。』に余裕で上を行かれたのはショックだったりしたんですけれど、やっぱり物語としてちゃんと完結しているモノの方が評価されるのが当たり前。自分自身のうぬぼれを正し、読者に視線を向けることにもっとこだわらねば! と感じます。

 おとぎの国の……いや、『アリスさん』でいいですか? ちょっと長いのでw
 アリスさんの作品は、こう……ネタがもうちょっと捻ってあればもっと魅力的になったと思うんですよね。着地点が普通だったので。だけれど、俺は客観視してみると物語になってないモノを上げている感じなので、物語をきちんとまとめているアリスさんとは比べるべくもない段階なんですけれど、御作については俺はネタで魅せて欲しかった。
 これはあなたの感想欄の方に書くべきなのかな。

 この作品はメタで捻っちゃったんですけれど、俺が一番書きたかったのは『創作と才能』なんだ、と気付けました。リメイク作としてはそこを中心に書いてみたいです。
 フィクション→現実だと驚きが少ない感じなのかな。一応、伏線は張っていたんですけれど、ミステリとかと比較すると確かに弱いですよねw
 次は『才能という残酷さを多視点で浮かび上がらせる』作品にしてみたいです。
 直球勝負してみます。

 ネタバラシについては、今回投稿した御作についてなのかな……。
 『。。』については、ネタ云々よりも男女が四人登場した時点で「ツーペアできるな」と感じてしまったのがちょっとつまらなく感じてしまった原因ですかねw うーん……まあ、俺は普通じゃない作品が好きだというのは、今作を読めば十二分に伝わってしまうと思うので、参考になるかはわからないんですけれど……。
 ラブコメについては、謎というよりはキャラクター(特にヒロイン)がどれだけ魅力的か、あとは誰が誰にくっつくかわからないハラハラ感かな? 特に前者が重要だとは思うんですけれど、『。。』はキャラが普通だったかな……いいや、御作の感想欄にもう一度お邪魔しますw

 冬企画はホントに参考になったし、楽しかったですw 何らかの人脈にもなるといいかな~とちょっと思ってもみたりw
 

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2016年01月19日(火)08時41分 天田龍太郎作者レス
ウサリアスさん

 配点分布を見ると創作寄りよりも批評寄りな方に見えますけれど(俺も実はそう)、こういう人の厳しい意見は落ち込むけれど参考になる場合も多いと俺は感じます。

 今回の作品でテーマとして書きたかったのは、『主人公の余命が幾ばくか』であるコトじゃなかったんだなあ、と批評を読ませていただいて感じました。
 多分しょっぱなで俺が示したかったのは、幻想的な絵に魅入られ、才能に憧れるモノの、しかし余命の問題もあり、クリエイターにはなれない敗北者としての主人公なんです。そこを突き付けられなかったのが大きな失点だったんだと。

 まあ、この評価は厳しめに見れば全然妥当だと思うw 次はもうちょっと尺を取って面白い作品を書きます!
 

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2016年01月19日(火)08時36分 天田龍太郎作者レス
筋肉バッカさん

 そうですねー。作品を捻るコトだとか、斬新さばかりに目を奪われていて、イマイチ物語そのものの着地が失敗しているんじゃ? という感じの作品になってしまったコトを反省しています。

 前半と後半の落差については、やっぱりキツいという人もいるようですね。今回では一粒で二度おいしいを狙いたかったのですが、そんなことは軽々と狙えるモノではないのでしょう。

 次は統一感のある物語を書きたいモノです。
 

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2016年01月19日(火)08時31分 天田龍太郎作者レス
ハイさん

 ある意味0点ってマイナスよりも悔しいですよねー!w 『愛の反対は憎悪じゃなくて無関心じゃ』みたいな感じで(笑) 次はハイさんに0点をつけられない作品を書こう……。

 レンブラント辺りは誰にとっても不評みたいですね。反省しました。
 俺も書く時にちょっと躊躇したんですが、勢いとノリに任せ過ぎてしまいました。
 幻想的な景色と少女に見える主人公。これはファンタジーなのか……? →残念、イラストだ! の流れをもっとちゃんと書くべきだったかと。

 キャラクターについてはモノローグに依存すると思っているので、俺なりに暮太や色葉は感情移入して書いたんですけれど、それが読者に魅力的な域には達していないというか、読者が求める方向性とは違っているのかもしれません。
 俺はもっとヤミヤミしていた方がいいらしいというコトに気付きつつあります。自分に似たキャラクターを書くとどうしても凡人になっちゃうからなー。きゃぴー♪

 テーマについてはまあ、絵かよ! という感じではあるかとw

 文章については、なんだろうなあ、文体レベルというよりは、書く内容の絞り方が甘いんじゃないか、と感じました。より伝えたいコトに集中すべきみたいな感じですか。短編では特にそうですよね。
 前半、ストーリーはまあまあでした? ふむ。
 前半、後半の切り替えについては、ベタですけれどもっと空白を置いた方がいいかな、くらいは考えましたね。
 作中作構造はちょっとヒネり過ぎていて、ついていけなくなる人を増やす原因になっていると思いました。『創作と才能』をメインにリメイクはしてみようと考えています。作中作設定は外す。

 メタについては考えてみます。

 感想ありがとうございましたー!

 

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2016年01月19日(火)08時21分 天田龍太郎作者レス
藁谷拳さん

 確かにメタで物語を捻ってあるので、あまりわかりよい物語とは言えないかもしれませんね。あまりわかりよくない物語をある意味では書きたかったので、賛否両論で正解と言えば正解だったのかな。
 ただ、やっぱり読者に向けたボールもちゃんと放ちたいという思いを深めましたので、今回参加できてホントによかった。作品をもっと突き詰めるべきでしたけれど、でも一日で書き下ろしてアップロードできたので、とても沢山の意見を貰うことができた。

 取り合えず、前半はそこそこ面白いと言っていただけて嬉しいです。
 また今回の作品って、実は前半だけで冬企画で出すつもりだったんですよw ページ数が足りなかったんですね。
 勿論、初めから作中作構造は考えていたんですけれど、そのネタは伏せて、後で投稿室投稿時に後半部分をつけたして「実はこうだったんだよー!w」「な、なんだってー!w」的な企画的なヤツをやりたかったワケです(笑)
 一粒で二度楽しませたかったんですけれど、まあ、今回全部出すコトで様々な穴が見えてきたから逆によかったですね。結果オーライです。
 なので、藁谷さんが仰っていることもある意味『作者の考えていたコト』ではあるワケなんです。
 二つのネタを連結したみたいなチグハグさが企画時点であったんでしょうね。

 後付けですが、実際には悲劇の主人公以外何者でもない暮太をあえて喜劇の主人公にしたのは、どっちかっていうと暮太に向けた鎮魂歌の意味もあるかもしれませんね。
 色葉は暮太がライトノベル作家を目指していたコトで個人的に感情移入したでしょうし。
 揺人も炎上したから沈んだんじゃなくて、暮太の報われない悲劇的な人生に感情移入しちゃって落ち込んでいる側面の方が強いでしょうし(それを作中に書けよw)、だから、色葉は「アイツも一人の人生の主人公として死んでいったんだよ。前向きにな」というメッセージを揺人に送りたかったのでしょう(多分w)。
 だからまあ、一応励ましにはなっているとは思いますよ(笑) 俺も今知りましたがw まあ、こういう感じで細部を詰められなかったのが痛いですね……。

 色葉に感情移入しにくいのは尺の問題もあると思うので、リメイク作は中編以上のボリュームにしようと思います。
 俺も正直「なに突然創作論語り出してんのお前w」と色葉に思わなくもないし(笑)

 次はもっと読者を抉る物語を書きたいですねー。感想ありがとうございました!!
 

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2016年01月19日(火)08時03分 天田龍太郎作者レス
総評

 冬企画ありがとうございました!!
 感想をくださった皆さん、ありがとうございます。
 『読者に向けてボールを投げていない』とか『読者のことを考えていない』とか言われても「ふーんだ、俺は俺の書きたい作品を書くんだもーん」と考えていた俺も、こうやって視覚的に順位を貼り出されて、自分の得点とかを眺めていると、やっぱりちゃんとした読者が面白いと感じる作品を書きたいなあ、と感じますね。流石に。感じなかったらヤバいけどw
 個人的にはラ研の投稿で一番参考になりましたねー。普段の投稿室から十くらい感想がつくと、このサイトの使い心地も全然違うんですけれど。
 この作品はリメイクしようと思います。初めてリベンジ欲がメラメラと燃えています。次の作品で貴様らの魂に傷をつけてやる!! なんちゃってw

 この作品については、どの方向にボールを投げたらいいか、結構見えた気がするので、リメイクすればかなりまともになるとは思います。

 

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2016年01月17日(日)18時38分 タカテン yRNUcsqs0o10点
冬企画への参加、お疲れ様です。
拝読いたしましたので、感想を送らせていただきます。

(良かった点)
・ 冒頭の一文
雰囲気が出ていて、「おっ」と目を引く一文になっていました。

・ 複雑な構図
作中作を使った複雑な構図で、単純な物語とは違う味がでていると思います。

(気になった点)
・ 冒頭のその後
最初の一文は本当に惹かれたのですが、その後のだらだらとした文章には正直辟易しました。
エンジェルラダーが薄明光線だとかレンブラント光線だとか呼ばれているという話は別に構いません。が、スペシウム光線とか、レントゲンとか全然関係ないじゃないですかw
そのため「いきなり脱線しているなぁ」と、肝心の話への興味がなかなか持てなかったのは残念でした。

・ 果たしてこの構図で良かったのか?
これまた良かった点に挙げておきながらなんですが、御作の試みは面白いものの、その効果を存分に発揮できる構図になっていたかについては疑問に感じました。
「あー、なるほどー」ではなくて、「おおっ、そう来たかっ!」と読者に思わせるような設計図で描いてほしいところです。

(自分ならこうするという無責任なアドバイス)
 難しいところですが、自分なら揺人が暮太の死体を前に絵を描くシーンを冒頭に持ってきて、どうしてそんなことをしたのか、揺人は狂人なのか、という興味を読者に持ってもらえるような展開にするでしょうか。
「クリエイターって果たしてなんなのか?」という主題をもっと最初から明確にしてもいいかなと思います。

それでは失礼いたします。
執筆お疲れ様でした。

 

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2016年01月15日(金)23時57分 青出20点
 こんにちは。感想を書かせていただきます。工夫された構成で、強いメッセージを描いた作品で、後半は思わず身を乗り出して読みました。

ここが好きです
○不思議な読後感
 ポップでライトノベルらしい前半の作中作と、後半のシリアスな展開との落差に、不思議な読後感を味わわせていただきました。個人的にはこういった一風変わった作品は大好きです。パートナーに会いに来てそのまま命を落としたファンの生前を、コメディとして書く。不謹慎とも思われる作劇法ですが、色葉にとっては揺人と暮太に向けた応援歌なんだろうなあと想像しました。
 不幸の中でも、小さな喜びを見出して生きた暮太。誹謗中傷に打ちのめされている揺人。そんな揺人を見ながら心を痛める色葉。創作が暮太にとっては喜びだった反面、現在の揺人にとっては苦しみの原因となっているのが、皮肉ですね。
 最後まで読むと、ひょっとすると一番苦しんでいるのは色葉なのかもしれないとも思います。作中作はパートナーへの応援歌であると同時に、自分でも抱えきれない苦しみを昇華しようとした結果の産物なのかもしれませんね。苦しい時に創作をしたくなるというのは、なんとなく共感できるところです。
 創作ということに関して、様々な問いかけを発している作品でした。
○構成
 意欲的な試みだったと思います。作風も前半と後半で変えようとしている意識が感じられて、よかったです。

ここが気になりました
○作中作
 主人公の
“そして、この聖夜に――俺はシロハネ先生に告白するのだ!
 あんな美少女イラストを描く先生が、美少女ではないはずがないだろうが?!”
 という独白から後半は、ぐっと引き付けられました。また「時限爆弾式心臓病」は、ばかばかしくて面白かったです。
 ですが、それまでの心情描写や情報説明が少しくどく感じてしまいました。たとえば、冒頭でポスターを見ているときの、「薄明光線」や「レンブラントとレントゲン」などの説明は、あまり必要性を感じませんでした。また、“健康のためによく歩くようになったため、経験則として思うのだが、スマートフォンのナビは、電車等を乗り継ぐカタチの、最短距離の検索ならば威力を発揮するが、表示画面の大きさに限界があるために、単純に地図として、徒歩する道先を調べるにはわかりづらい面がある。”という情報も同様です。
 楽しい薀蓄であれば、多少冗長であってもよいかと思うのですが、どれも一般的な内容なので個人的には興味を引かれませんでした。こういった情報よりも、たとえば冒頭で必要なのは、「イラストがどういったものなのか」「どれほど魅力的なのか」ということなので、のっけからいち早く少女の描写をしたほうがよいと思いました。
 作中作が前半にある以上、これ自体が作品として面白くなければいけないと考えます。「時限爆弾式心臓病」など面白かったのですが、ほとんどが後半で明かされる真相と同じ内容だったので、逆にごりごりのファンタジーやSF、ラブコメに振り切って書いてもよかったかもしれません。そうやって作品自体で読者を楽しませたあと、後半の真相パートで、「あれはそういうことだったのか!」と思わせられれば、さらによくなると思います。
○文章表現
“なので、少女は今まさに、現実とか天上に飛び立とうとしているように見える。”「現実」と「天上」は並列にならないのではないと思いました。

 楽しませていただきました。これからも頑張ってください!

 

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2016年01月10日(日)17時53分 テレグノシス-10点
これですよねぇ、いやあ、評価が大きく二分するんじゃないかと思います。

結局この物語は誰に焦点を当てているのか、誰が幸せになればいいのか、捉えどころが難しいようにあったと思います。
時限爆弾も、有限の命の灯を表現するならむしろこの設定を序盤で叩きつけると、物語に緊張感が生まれたのかなと思います。
なにせ主人公が死ぬ直前にいきなりこの設定が来たので、主人公の死があっけなさすぎ、な印象を与えてしまいました。

書き出しの文章はとても惹かれました。
エンジェル・ラダーを説明する序盤では、神秘的な風景を軽快な文章で連ねて言っています。
ただ、語り手がどこにいるのか? 家なのか、外なのか? あるいは幻想世界なのか? が読み進めないと分からないので、そこがもったいないところです。
主人公の熱意も、あまりに突拍子もない(後で寿命が尽きてしまう、という説明がありましたが)
ものなので、主人公と読み手とギャップが生まれてしまっていました。

しかし、それを補うのが、創作意欲を震え立たせるラストの文章です。
ここをどう評価するかがポイントだったように思います。
 

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2016年01月10日(日)15時45分 99kg mXR.nLqpUY0点
冒頭が少し付いて行けず
>『レンブラント』と『レントゲン』が似ていると思ったのも当然だ――どっちも由来が同じだから。どちらも人名なのだ。
人名である事と似ている事は全く繋がらないのでは?
『青木まりこ』と『レントゲン』はどちらも人名ですが全く似ていませんよね。
そんな事を思っていると
>俺はその少女を
少女の存在すっかり忘れていました。誰?
そもそも一行目に出ただけで、この時点では絵なのかテレビなのか本物なのかも分からないまま放置状態でしたからすっかり抜け落ちてました。

>支柱のない螺旋階段。
螺旋階段だったとは!! とビックリ。エンジェル・ラダーからはイメージできない。ここでイメージの再構築。
>駆け上る中で
しかも駆け上がってるし! 幻想的なイメージが……。どうでもいいですけど光の階段に手すりあります? 目回って落ちないか心配です。

>しかし、その服装は純白のマフラー、真紅のセーター、漆黒のスカート、黒ストッキングと、完全に現実世界のシロモノである。
天使のイメージだったのに……。いきなり悪魔みたいな服装に修正。

>現実とか天上に飛び立とうとしているように見える。
天上は分かるとしても、現実に飛び立とうというのはどういう意味でしょう?
>美少女イラストポスターに目を移し
ああ、そういう事ね。というほどの納得感でもなく、ただただ振り回された感がありました。

>「最近増えているんですけれどねぇ……例えば、アレですアレ。例えばドラマなんかで最後の方に登場する、時限爆弾、あるじゃないですか」
最後の方と言われても何なのか分かりませんでした。普通ドラマの最後に時限爆弾って出るもんですか? と思ってしまう。


結局前半部分は作家秋月色葉の書いた物語という事なんですよね。
揺人の汚名を晴らす為の執筆という形のはずなんですが、
どう見てもただの死体を前に絵を描き始めた男です。ハリーの災難か!?
揺人を庇護したり元気づけたりする為に書かれた物なんですよね!?

作中作では主人公との関係性にも触れていないので、なぜ天国への階段を描いたのかも分かりません。
揺人は最後暮太の事に気が付いたのでしょうか? でもそれは真実を知る人が分かるだけで、作中作では含まれていません。
暮太の心情描写がやたらと多いですが、これはほとんど色葉の創作なんですよね(事実と異なりますから)。
色葉はこれを誰に読ませて何を感じてほしかったのか。

揺人のためだけに書かれた物なのだとしても
「暮太はお前の事なんか知らない」(小説中の暮太はシロハネを美少女と思ってますからね)
「とにかく描け。死体を見ても通報よりも先に描け」
という事くらいでしょうか。
誰に見せるでもない、色葉の中だけにしまっておく物、なら「そんなもん見せられても……」となってしまいますし。

総評としては結局誰の物語だったのか、何が言いたかったのか、が分かりませんでした。
肝心の「クリエイターとは?」が単に辛い目に遭っても描け、というくらいで特に驚きがない上に、作中作からそれを感じ取れない。
「クリエイターとは?」というのも作者コメント見なければ、そういう事を言及していると感じられないと思うんですね。何がテーマなのか分からない。
「それを含めて作品だ」認める人もいるかもしれませんが、少なくとも自分は作品中で全て語られるべきだと思います。少なくとも公募、発刊作ではそうです。

暮太がどうしてシロハネの招待に気付いたのか、割と重要だと思うのですがそれも分からない。
それにその場で揺人は認めているのにその時点で情報は拡散しなかったんでしょうか。サイン会なので大勢のファンがいたはずです。

・予想外の展開
・ついていけないくらいの転がり落ちるジェットコースターのような展開
のみに重点を置いているのなら成しているかもしれませんが、ただそれだけという感じです。ただただ付いていけない。

なんかリレー小説でも見せられているのか!? みたいな感覚。
構成とかテーマとか伏線とか、そもそも作品として成立していないように感じます。
世の中にそういう文化があるのかもしれませんが、ちょっと私には分かりませんでした。
 

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2016年01月07日(木)22時00分 いりえミト20点
 こんにちは。
 御作『※この物語はフィクションです。』を拝読したので、感想を書かせていただきます。


 作中作を用いた、トリッキーな作品でしたね。
 
 文章が非常に魅力的だったと思います。
 読みやすい、分かりやすい、というのももちろんなんですけど、それ以上に「表現力」が凄いという感じでした。
 いや、はたして「表現力」という言い方が適切なのかはわからないですが……
 前半の俺パート、後半の私パート共に、語り手の感情がダイレクトに反映されている文章で、鬼気迫るものを感じるというか。
 「俺」「私(秋月色葉)」という人物は実在していて、それぞれが本当にこの文章を書いたんじゃないかとまで感じさせるものがありました。
 それだけの文章を書ける作者さんの筆力の高さには、脱帽です。

 ストーリーとしては曖昧模糊とした感じで、感想を書くのが正直難しいです。
 でも、文章をを読んでいると、物語の中に引き込まれて、自然と続きを読んでしまうようなパワーを感じました。
 純文学的というか。
 そういう意味では非常にレベルの高い作品だったと思います。


 私からは以上です。
 執筆おつかれさまでした。
 

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2016年01月11日(月)08時15分 あまくさ20点
失礼しました。今回、作品を投稿できなかったので、新ルールを十分に把握できていません。感想も匿名にするのですか?
では。
すでに私のHNをご覧になった方がいらっしゃったら、忘れてください(笑

 わりと、感想の書きづらい作品でした。やや冗長なモノローグから、メビウスの輪のようなねじれた世界に読者を惹き込んでいく、といった構成ですね。しかし、キャラや語られる物語にそれほど魅力があるわけではないので、何を基準として良いとか悪いとか言えばいいのか判らないんです。

 一つ注目したのは、意外と読みやすかったこと。内容も、杉林暮太の物語、大葉揺人というイラストレーターと、もう一人のシロハネである小説家、秋月色葉。作品空間の中のこの3人の配置がさほどの難解さも感じさせずによく判りました。そのへん、けっこう丁寧に仕上がられているなと感じ、ポイントの高いところでした。

 物語的な要素としては、

>俺はムリヤリに気分を盛り上げると、支度を済ませて、玄関から外に出た。
>外に出る際に、『そういえば、今日は家族、戻ってきてないな……家族皆で、外で飯でも食ってんのか?』というような発想がつい浮かんでしまい、虚しくなった。
>そうして、俺は1kの部屋が並ぶアパートを出た。

 このくだり。後で暮太の家族三人が外食に出かけて事故で亡くなっていることがわかると、少し切ないですね。

 ただ、本作は読み終えて物足りない感じも残りました。
 キャラと物語性が薄い作品なので、魅力としては迷宮的な構造そのものに求めるしかないのだと思うのですが、ならばそこに今少し強烈なインパクトがほしかったかな? とは思いました。


 私からはこれくらいです。企画参加、お疲れさまでした。
 

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2016年01月02日(土)15時44分 モンハンほも0点
拝読いたしました。

まず最初に。一読した感想は「なんじゃこりゃ」だったのですが、作者コメントを見てから再読すると味があって「おお、なるほど」と思いました。他人の人生に影響を与えるような作品を生み出せる力、欲しいですねえ……。
ということで、作者コメントに頼らないで作品だけで語りましょうよ、と苦言を呈させていただきます。構成的に作中作からスタートするより、先に「これはシロハネというイラストレーターに憧れた杉林暮太という男の物語である」ということを明示した方が個人的には好みです。
文章が読みやすく上手いので、作者様は書きなれている方なのだと思います。それだけに、作者様の高いレベルについていけず脱落する私のようなバカな読者のために、もう少し作品のテーマをわかりやすく書いていただけると嬉しいです。

拙い感想で申し訳ございません。
以上、失礼いたしました。

 

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2016年01月01日(金)13時41分 おとぎの国のアリス10点
あけましておめでとうございます。拝読いたしました。
2016年、最初の感想残しとなります。
なんと言いますか、ものすごく高いハードルに挑戦された作品。そのような印象を、まず受けました。
その心意気や、前向きな姿勢は、それだけで評価に値するものだと思います。ですが、では成功していたか?と、言いますと…残念ながらそこまでには至っていなかったように思われました。

ちょうど私も、現在執筆中の作品で同じような試みをしています。現在と回想を繰り返していくタイプのものですが。回想の中で事件の顛末を語り、現在では犯人と対峙している構図です。最大のポイントは、最初の時点では主人公が犯人と対峙していることを、読者にわからないようにする。というもの――

同じような観点で申し上げますと。
今作品における最大のポイントは、前半部で語られるフィクションを、フィクションだと読者に悟られないように描くこと。このような気がいたします。
つまるところ、作者様からフィクションだと告げられたときに、思わず読者が――
「ええっ、これってフィクションだったの!?」
などと、悔しがらせたり。
もしくは――
「そうか、そうなんだ。フィクションでよかったよ」
こんな風に、読者に思わせることができたとき。→作者様の勝ち。
なのではないでしょうか?

今作品の場合。フィクションだと告げられるまでもなく、前半部の語りを読んでいる時点で読者はフィクションだと気づいてしまいます。
「うん、だよね」「うん、知っていた」「だからなに?」
このような心理になっている読者に対して、種明かしのような事実を告げられても「へー、そうなんだ」くらいにしか思われないと思います。
むしろ、およそ20枚にも及ぶフィクションシーンを読んだ挙句。同じような話を真実ととして再度語られることに、うんざりといった反応を示す読者も多いのではないでしょうか?

メッセージ性を強調されるのであれば、このような読者心理を計算したうえで行ないませんと、なかなか伝わらないのではないかと思います。

「リア充、うはうはストーリー」→実は、全部フィクション。←ざまぁw
「とことん可哀想な主人公」→実は、全部フィクション。←よかった、ほっとした!
フィクションと現実とのギャップが大きければ大きいほど、読者の共感は得やすいと思います。
→じゃあ、実際のところはどうなの?
この読者からの疑問に対し、フィクションに関連付けたエピソードが展開されたならば、読者は自然に受け止めてくれるように思うのです。

冒頭あたりのイメージで、ずっと描いて欲しかったですね。「時限爆弾式心臓病」この言葉が登場した時点で、なんだそれ?ありえない。→フィクションだよね。と、なってしまいました。
作者コメントで、すでにネタバレしてるんですけどね。
仮に、メインテーマである「クリエイターって果たして…」のみを強調されたいのであれば、回りくどいことをせずに直球勝負。このほうが合っていたかと思います。

とはいえ、挑戦自体は素晴らしいと思います。
私も、この場をお借りしてネタばらしをしますと。割とわかりやすい伏線を一つ用意してストーリーを進行させつつ、もう一つの伏線で読者の関心を掴んでみたい。このような挑戦をしてみました。主人公を思い切っておとりにしてみたのですが、果たして読者の方には受け入れてもらえているのかどうか…。
結果はともかく、なにがしかの評価が得られれば、次の作品へと活かすこともできますよね。

以上が、私からの感想となります。
執筆お疲れ様でした。作者様の意に沿わない部分は、スルーしてあげてください。
お互いに挑戦し続けましょう!本年もよろしくお願いします。
 

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2015年12月31日(木)17時31分 ウサリアス-30点
 どうも、感想専門のウサリアスです。

 途中、読むのやめたくなるほど、読みにくかったです。
 序盤の主人公の脳内文章が長く、そんな知識はいらん!と思いましたし、話がなかなか進まないので、イライラも募りました。
 それよりか、時限爆弾式心臓病のくだりを、最初に持ってきてくれた方がまだマシだと思いました。

 また、『リア充爆発しろ小説と見せかけて『クリエイターって果たしてなんなのか』的な小説です。』と書いていますが、どちらかに絞って書いた方がいいです。
 内容が噛み合っていないせいか、いきなり場面が変わり、えっ!?何、この後半!?となります。特に、今回の文章量だと、両方の内容をきちんと表現するだけの文章量がないため、その感じが一層強くなり、つまらないなぁーと思いました。

 

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2015年12月31日(木)13時15分 筋肉バッカ 9.WICozezU0点
こんにちわ。読ませていただきました。

意欲的な作品というか、挑戦的な作品というか、そういった作者さんの前のめりな姿勢を感じる作品でした。いろいろ考えながら、書いたのだろうなと勝手に想像をしました。

気になった点です。
前半の物語パートと、後半の秋月さんの語りパートから構成されていて、当たり前なんですが、その二つの雰囲気がまったく違うんですよね。その落差はちょっと看過できませんでした。作者コメントを見るに、メインは後半ということになるんでしょうけれど、読んでいて感じるものはあまりなかったかなぁ…前半部分の真相なんかも描かれていいますけれど、どうにも入り込めなかったですね。秋葉さんが悲劇に酔ってるみたいで、こちらとしてはむしろ冷静になっちゃったような気がします。しかし、クリエイターとか創作ってそういう一面もあるのかなとも想像しましたが、少なくとも、今の私にはまだよくわからない領域なのかもしれません。

以上です。
執筆お疲れ様でした。
 

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2015年12月30日(水)01時14分 ハイ s7d/2ml3o.0点
拝見しましたので、感想をおいていきます。

●文章
文章そのものに悪い点はなかったかと思いますが、前半の文章の並べ方や情報開示の仕方はちょっと読者にやさしくないんじゃないでしょうか。
例えば、冒頭に少女を提示したのにその説明を二度ほど先延ばしにされた点とか、レンブラント光線、エンジェル・ラダー、光芒、薄明光線とさほど重要でない情報を延々語られている点とか。
話の冒頭が工夫できているかどうかで読者がひきつけられるか否かはだいぶ違ってきますので、もうちょっと工夫されてみてはどうでしょうか?

●キャラ
うーん、すいません。私には魅力的なキャラはいませんでした。
強いてあげるなら、お医者さんですかね。
狂気を感じさせる言動は見習いたいぐらい良かったと思います。


●テーマ
まあ、テーマとして使われていたような、そうでないような。
ちょっと判断しにくいですね。

●ストーリー
前半を読んだ時点で、ストーリーそのものはそう悪くないから、あとは文章の問題かな、と思っていたらまさかの後半がはじまりましたw
前半は作中作だったんですね。
けれど、前半の時点で微妙についていきにくい感じがあるところに、さらに視点切り替えが存在しているため、読者的にちょっとついていきにくいような気がします。
いや、以前自分も同じことをやったことがあるからなんですけどね。
切り替えイラネ、な意見が多かったです。
なので、私としてもこれは前半のみに留め、もうちょっと文章をブラッシュアップされていたら印象はだいぶ違ったんじゃないかなと思いました。


メタ的視点については、別に問題ではないかと思います。
ただ、メタ的視点にすることで面白くなっているかというと、今作ではメタの悪いところが出ていて、私的にはやめたほうが良かったんじゃないかなと感じました。



それでは、共にあげていきましょう!
 

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2016年01月02日(土)02時03分 藁谷拳 Awdr/kQ7Ic10点
最後まで読ませていただきました。
1度だけでは誰が主人公なのか、構図がどうなっているのかわかりにくかったため2回読み、ようやく理解しました。
申し訳ありませんが、初読の方が入りにくい物語になっていますね。

物語内の小説ですが、それなりに面白いコメディには出来上がってはいます。
ただし友人を再起させる作品としては、ちょっとテーマも作風も違う気がします。
この物語を見せつけて、どうしようと言おうのか。
むしろ後半をすべてなかったことにして、前半のコメディで別作品として短編に仕立て上げれば……という気になります。
作者の意図とはまったく違ってくるでしょうが。

あとラスト。秋月色葉が相棒の揺人へメッセージを送るシーン。
饒舌ではありますが、気持ちだけが前面に出ていて空回りしている感じです。
読者の私としては、あまり感情移入できず「へえ、そうなの」としか。

総評をあげさせていただくと、考えさられるような作風ですが、楽しめる物語ではないということです。
失礼のほどはお詫びいたします。
 

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合計 12人 50点

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